コロナショックからみる東京の今後の不動産市況

2020/06/10

~コロナショックからみる東京の今後の不動産市況〜

 

新型コロナウイルスなどの影響による経済打撃は全世界へ広がりを見せていますが、不動産市況についてはどのような影響があるのでしょうか?

東京オリンピックの延期を受け、今後の不動産への影響が気になっている方も多いと思いますので今回は、今後の不動産市況について考察していきたいと思います。

 

目次

 

賃料はどう変わる?

新型コロナウイルスを抑え込むための自粛措置によって、観光業、店舗や事務所に与える影響は甚大です。特に、飲食店・居酒屋・アパレル・インテリア雑貨などのテナントは2020年3~5月は売上が80%~90%減になってしまったところも多く出ました。

借主から貸主に対して、家賃の減免措置要請も相次いでおり、国土交通省などから、家賃交渉に応じた場合の税の減免などが提案されましたが、貸主にとって条件が厳しいうえに、一定の損を見込む必要があります。このため店舗・事務所などは、今後「家賃の減免⇒テナントの退去⇒空室の長期化」が起こり始めると思われます。よって大型商業ビルやホテルリゾート施設など中心としたリート(不動産投資信託)の評価は落ちてくるのは否めません。

 

しかし、居住系の賃料は価格変動が比較的小さいことや、テレワークの拠点としても利用され価値も高いことから、すぐには賃料の低下は起こらず一定の額で下支えがあると言えます。

また生活するための拠りどころとなる「住宅」は必要ですし、住む家の需要は減ることはありません。よって賃料が下がるようなこともなく、過去に起きたリーマンショックや東日本大震災の時も賃料はあまり影響を受けませんでした。また居住用賃貸物件は、保証会社を付けている賃借人も多く、大家さんに家賃が入らないといったことはないので安心です。

 

オリンピック延期で不動産価格は急落!?

オリンピック延期で東京の不動産価格は急落するという見立てをする専門家もいるようですが果たしてどうなのでしょうか?

結論から言えば、コロナショックによる影響で不動産市況も活発ではないだけであって、不動産価格が下落している訳ではありません。

東京は世界から多くの人が集まるグローバル化された国際都市であり、オリンピック開催関係なく東京に「住む・遊ぶ・働く」といった一定の需要は常にあると言えます。

またオリンピック選手村や競技施設の建設は、延期決定後も継続されており、2021年の開催予定に向けて、訪日外国人を受け入れる宿泊施設や空港、交通機関などの大規模なインフラ整備がまだまだ進められています。品川ゲートウェイや虎の門ヒルズといった新駅が登場して、大手町、渋谷でも大型の開発が進行、リニア中央新幹線(品川〜名古屋間)も2027年開通予定となっているなど、東京のインフラ整備・開発は続いているため、不動産価格が急落することは考えにくいと言えます。

 

また過去の市場崩壊の後を例に見てみると、平成バブル(1988~1989と定義)の崩壊の後には不動産価格は上昇し、価格が下がるまでに数年を要しました。またリーマン・ショック(2008年9月)の後には2012年頃まで天井圏から1割弱程度の下落である4,500万円の水準を維持しながら

2013年には上昇に転じ、2019年には平成バブルと同じ水準の価格にまで到達しました。

 

このように市場崩壊後も不動産価格はある程度維持されていたと考えれば、コロナウイルスやオリンピック延期など経済活動の制限の影響による、今後の不動産価格の急落は考えにくいと言えます。

 

ただし、世界経済停滞の煽りを日本が受ける可能性は大いにあるため、急落はないとしても、一時的に価格が落ち込むといったことはあるでしょう。
そのため、コロナショック時が不動産の買い時になる可能性は大いにあると予見しています。

 

まとめ

未だ収束が見えない新型コロナウイルス。コロナショックの影響は、日本国内の不動産市場に関して限定的であるようです。不動産投資という位置づけで考えれば、賃貸市況においては店舗や事務所などの商業テナントの退去リスクはあると思いますが、個人向け住居に関して影響は少ないと言えます。また家賃の相場自体も景気や株価の影響で大きく下落することはなく、一定の水準を保つと言えるでしょう。

不動産価格については、リーマンショックなど下記の例を見ても、今すぐ下落に転じる心配はないと言えます。不動産業界ではローンを組むケースが多い事から、「金融機関からの融資」といった金融政策も影響を受ける大きな要素となります。コロナショックを契機にアメリカでは既に金融緩和が進んでいますので、日本でも金融緩和が行われ資金調達のハードルが下がると、不動産の需要が下がらず、むしろ上がる可能性も存在していると思います。需要が上がるのであれば価格が下がることもないということです。

 

また、海外の投資家の日本の不動産への投資意欲は引き続き好調ですし、国内でも長期保有の資産購入に対して意欲的な投資家も多いため、好立地の物件であれば大幅な価格の下落も起きにくい言えます。これらを踏まえ不動産投資の観点からいえば、今後も居住用として賃貸需要の高いエリアで不動産を選ぶことが大事だと言えますね。