【 需要と供給 】首都圏ワンルーム投資の空室リスク予測
2020/01/10
総務省は人口動態調査により、2018年1月1日時点の日本の総人口が37万人減で9年連続で減少と発表しました。人口が唯一増加したのは東京・埼玉・神奈川・千葉・愛知・沖縄でしたが、人口増加率は東京が首位でした。
ワンルーム投資で非常に大きなリスクとして挙げられるのが「空室リスク」。ではマクロの視点で見た場合に、都内・首都圏ワンルーム投資の空室リスクはどのように変化していくのかを分析してみました。
目次
≪需要≫
≪供給≫
・まとめ
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都内・首都圏への人口集中状況
このグラフを見ると、2017年時点で東京都の人口は1365万人にのぼります。今でこそ微増の傾向にありますが、将来的には都内の人口も減少トレンドを示すと考えてよいでしょう。しかしながら一方で、2025年には703万世帯のうち半数を上回る339万世帯が単身者世帯になるとの予測もされています。単身者だけに焦点を絞って考えると、都内では横ばいないしは増加トレンドが今後の予測として立てられます。単身者増加の主な理由は次の5つです。
・大学の都心回帰
・企業数増加
・外国人滞在者の増加
・晩婚化/未婚化
・高齢化
これらの要素がどのように単身者増加に寄与しているのかを1つずつ見ていきましょう。
大学の都心回帰
大学が1つあるだけで近隣の住環境は大きく変化します。例えば足立区では2005年以降に行った大学誘致によって約1万人の人口増加が引き起りました。
これにより、地域活性・賃貸需要の増加を引き起こし、足立区全体としての地域向上に寄与しました。この事例のように大学がその地域に引き起こす経済的な効果は非常に大きく、ワンルーム投資における賃貸需要に対しても大きく関与します。
都内全体に目を移すと大学数は137校で、2位の大阪の55校と比べても2倍以上あり、ここ数年、都心に新たなキャンパスを作ったり、学部を移動させたりなどの動きも広がっています。
また、県外から首都圏の大学に進学した人の数も増加傾向にあり、少子化とは裏腹に都内では大学生徒数が増加する傾向となっているため、ワンルーム需要も増加の傾向となっています。
企業数の増加
全国の上場企業数は3,564社です。そのうちの50.3%にあたる1,791社が東京都にあり、東京一極集中の様相が伺えます。事業所は地方にありながらも本社機能を東京に置いている企業もあり、こうした傾向から東京の一極集中度合いがさらに高まっていると考えられます。また、東京都には約41.9万の企業が存在しており、そうした背景から企業絡みでの賃貸需要を見込むこともできます。
外国人滞在者数の増加
総務省の調べによると、2018年1月1日時点の日本で暮らす外国人の数は過去最多の249万人。そのうちの約2割にあたる50万人近くが東京都に在住しており、20代の10人に1人は外国人と言われています。
外国籍の方の中には東京へ出稼ぎに来ている方も多く、そういった方が単身需要をもたらしています。
未婚化/晩婚化
1995年を皮切りに生涯未婚率がうなぎ登りで上昇しています。2020年以降鈍化の予測となっていますが、’20年以降も未婚化・晩婚化の波は緩やかに上昇していくと考えられます。
ここまでのお話で、東京圏にいかに単身者ニーズが高く見込めるかということが分かっていただけたかと思います。では供給という側面ではどうでしょうか。
首都圏単身者向けワンルームマンション供給戸数
1988年~2005年まで | 83,664戸 |
2006年 | 8,387戸 |
2007年 | 9,210戸 |
2008年 | 7,006戸 |
2009年 | 5,101戸 |
2010年 | 4,583戸 |
2011年 | 5,298戸 |
2012年 | 6,966戸 |
2013年 | 5,703戸 |
2014年 | 6,240戸 |
2015年 | 6,056戸 |
2016年 | 7,028戸 |
2017年(1~6月) | 3,222戸 |
総供給戸数 | 158,464戸 |
東京カンティ 資料より
首都圏の単身者向けワンルームマンション供給数は約15万戸です。現在の単身者数が308万人であることを考慮すると、東京は需要過多な地域であると言えます。
ではなぜ、供給戸数をもっと増やさないのでしょうか。
ワンルームマンション規制
実は都内23区では新たな新築ワンルームマンションを建設するにあたり、区ごとで厳しい規制を設けています。一般的にワンルームマンション規制と呼ばれるこの条例は、ワンルームマンションの供給数減少の引き金ともなっており、需要の増加量に対して供給量が追い付かないといった事態も懸念されています。
そのため、ワンルームマンションの希少価値は今後さらに上がることが予測され、賃貸ニーズも上昇すると見込まれています。
まとめ
需要に対して供給数が限られてしまっている状態は、ワンルーム投資を考える人にとっては絶好の機会だと言えます。
将来的にも賃貸ニーズが増加する予測が立つ今だからこそ、ワンルーム投資を考えてみてはいかがでしょうか。