不動産価格は今後どうなる?不動産価格の予想
2018/09/01
2019年の首都圏マンション市場動向が(株)不動産経済所から発表されました。これによると年間供給は15.9%減の3万1,238戸で、3年ぶりに減少。平均価格は1.9%増の5,980万円で、単価は7年連続増加傾向となりました。
不動産経済研究所は、今後の首都圏の投資用マンション市場に関して、「用地取得の競争激化によって都心中心の展開は難しい状態が続くが当面の供給は城東、城北などにエリアを拡大して安定的に推移する」と見込んでおり、さらに地価の高騰が続く中、低価格帯の住戸の供給がさらに減少することになれば、首都圏以外のエリアや中古市場へ今まで以上に人気が移る可能性もあると見ています。
目次
・まとめ
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そもそも不動産価格はどのようにして決まる?
東京オリンピック後の不動産価格については以前から多くの予想が立てられてきました。「2020年以降不動産価格や建築費が下がるのでは」という下落予想もあれば「オリンピック後でも大丈夫だ」という予想もあり、様々な説が混在しているのが事実です。
ではそもそも不動産価格の決定要因とはなんでしょうか。
資本主義の形態を取っている日本において、モノやサービスの価格は「需要と供給」の均衡点によって決まっています。買いたい人が多くなれば価格は上がり、逆に買いたい人が少なくなれば自ずと価格も下がっていきます。そしてそれは投資用不動産も例外ではありません。
投資用不動産も原則は「需要と供給」というバランスのもとに価格が決まっています。
しかしながら1点だけ他の商品とは異なる特異点があります。
それは現在の投資用不動産においてはローンを活用して不動産を購入することが多いため、金融機関の貸し出し条件によっては「買いたいけど買えない人」が出てきてしまうという点です。
つまり、需要と実質需要との間には少なからず差が生じていると言えるため、金融機関の貸し出し条件によっても不動産価格は変化します。
オリンピック後の不動産価格は下落?横ばい?上昇?
では本題の2020年以降の不動産価格の変動についてです。
実際のところ今後の投資不動産価格はどのように変化すると予測できるのでしょうか。過去の事例を参考にして考えてみます。
過去にオリンピックが開催された地域の中でロンドンは世界の不動産投資額ランキングでも上位の国です。イギリス政府はロンドンオリンピック開催後、オリンピック開催後に不動産市場が受けた影響について「オリンピックが不動産に対して与えた影響はないに等しい」と公表しています。現在の日本の不動産価格を鑑みると不動産価格は上昇のトレンドを示しています。しかしながら、これはオリンピックによる特需が生まれているのではなく、建築費の高騰、さらに言えば建築業界の人件費高騰によるものであるため、オリンピックが現在の不動産価格に対して与えている影響は確かにさほど大きくないと言えるでしょう。オリンピック後経済動向は減少トレンドを示すと考えられますが、不動産市場に至っては現在の価格上昇要因を考えると全体として価格の急激な下落を起こすということは考えにくく、上昇トレンドではなくなるにしろ、ほぼ横ばいないしは非常に緩やかな下落傾向となると考えられます。
建築業界の特需は不動産価格に影響を与える?
ではそもそも建築費高騰の要因となっている「建築業界」がオリンピックによって左右されていたとしたらどうでしょうか。
建築費は、2013年以降、20~30%上昇しており現在も下がる兆候はありません。この建築費の高騰も2020年を区切りに行きづまり、価格変動に影響するのではないかと予測することもできます。しかしながら、建築費の上昇は2020年以降も上昇を続けるとみています。なぜなら、高齢化に伴う建設業の人出不足で、2018年時点ですでに多くの建設会社が2022~23年程度まで受注見込みを抱えており、オフィスビル同様にどの建設現場も工期の遅れが出ている現状にあるからです。
さらに言えば、建設業界における人手不足はとても深刻化しているため、現在上がってしまっている人件費が今後落ち着くとも考えにくいのが事実です。
建築業界ではオリンピック特需が生まれているのは事実ですが、オリンピック以降も上記の要因によって急激に不動産価格に影響が出ることは考えにくいと言えます。
まとめ
オリンピックが日本経済の1つの節目となることは間違いないと言えますが、基本に立ち返って考えると不動産の価格を決めるのは結局のところ「需要と供給のバランス」です。その土地や物件に対する需要が高まれば価格は上昇し、逆に需要が低くなれば価格は下落します。
低金利でインフレではないのに不動産価格が高騰しているのには、建築業界の建築費高騰や「不動産投資」に対しての需要増加が考えられます。こうしたことを踏まえると今後の投資不動産価格については横ばいないしは非常に緩やかな減少トレンドになるとの予想が一番妥当であると言えるでしょう。