将来年金っていくらもらえるの?
2019/09/02
金融庁は「高齢社会における資産形成・管理」を公表しました。ここには「安定した老後を過ごすために年金以外の資金として2000万円必要」と記されていて、年金制度の危うさに改めて注目が集まりました。
年金制度改革のため、国民に資産形成の自助努力を求めたかたちとなるが実際、将来年金はいくらもらえるのだろうか。特に若い世代の人は、自分が高齢になった時に実際にどれぐらい受け取れるのか不安だと思います。
生活費26.5万円/月の夫婦世帯…不足する金額は?
厚生労働省が公表した「家計調査」にもとづいて、夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみ無職世帯の主たる収入源は年金で、その平均額が月に20万9198円になると試算。その一方で平均的な支出額は月26万3718円。毎月の赤字額が約5.5万円となるので、仮に95歳まで生きたとすると65歳からの30年間で2000万円の資産が必要になるという計算になります。
◇ 年金収入21万円-支出26.5万円=毎月5.5万円の不足
◇ 5.5万円の不足×12ヵ月×30年=1980万円の不足
上記のような計算では、確かにおよそ2000万円ほど老後の生活資金が足りませんね。
公的年金受給額は昔8.3倍、未来2.3倍?
将来の年金の受給額はいくらなのか?「支払った年金に対して、将来どのくらいの年金が受け取れるのか?」というデータを見てみましょう。それによると、次のようになっています
(厚生年金の場合)
◇ 1935年生まれの世代(いまの84歳くらい):払った保険料の8.3倍の年金を受給できる
◇ 1995年生まれの世代(いまの24歳くらい):払った保険料の2.3倍の年金に留まる
参照:『厚生年金・国民年金 平成16年財政再計算結果(報告書)』(厚生労働省)
つまり現在の65歳以上の世帯モデルでは平均21万円が受給できているが、いまの22歳が65歳になる頃には、21万円より低い金額になっている可能性があるのです。また受給年齢も65歳ではなく70歳までに引き上げられる可能性も否定できません。
なぜ年金受給額が下がるのか?
国の年金については、紙ベース時代の年金記録が完全にデータ化されていなかったことから不信感が生じ、また年金未払い問題がクローズアップされたことをきっかけに、一時期はメディアも政治家も、年金は破たんするのでは?と激しくあおりました。そのため、若い世代ほど「どうせ年金なんてもらえないんでしょ」と思っている人も少なくないかもしれません。実際のところ、国の年金はつぶれませんし、もらえないということはありません。国は年金を支払うための財源として190兆円ほど積み立てています。毎年50兆円ほどの年金支払いがありますが、一方で保険料や国の負担分などを合わせて50兆円強の収入もあり、できるだけ収支のバランスをとりつつ、積立金を徐々に取り崩していくようコントロールされています。そのため、いきなり積立金がゼロになることもありえないのです。しかし、もらえる金額自体は「減る」ということは事実としてあるります。
国の年金の最大のメリットは「死ぬまでずっともらえる」こと。引退生活に入ったあと長生きしている間は、年金はずっと受け取れます。しかし、長生きするほど年金制度が支払うお金も増えることになるのです。かつて、定年後に年金を支給する期間は10年ぐらいでしたが、今では平均的に20~25年も支払う時代になりました。人生100年時代が到来すれば、30~35年もの間、年金を支払い続ける必要がありますから、普通に考えて年金支給額が変わらなければ、国は昔と比べて2~3倍の年金を払わなければなりません。
その他にも様々な要因が考えられます。
・年金制度の成熟化に伴う運営上の問題 → 保険料の引き上げの遅れ
・人口増の変動 → 少子高齢化により現役世代が減ることで、高齢者の受け取れる絶対的な年金額が減る(世代間扶養の考え方)
・若い世代の年金の未払い
このような構造的な問題が様々ありますが、これはすぐに解決することができません。
だからこそリタイアしたあとのセカンドライフ資金を、老齢年金や、会社等からの退職金、企業年金だけで充分まかなえない場合は、若いうちから自助努力で資金準備をする必要があるのです。
将来に向けた準備を
銀行は低金利の時代、資産運用(お金に働いてもらう)という考えも選択肢として必要になります。
様々な投資商品がある中で不動産投資は、不動産投資は「ミドルリスク、ミドルリターン」に分類され、債券と株式の中間といわれます。不動産投資は空室にならなければ、毎月まとまった収入を得ることができます。株式などの投資でも売買益(キャピタルゲイン)、配当益や優待など保有しているだけで入ってくる収益(インカムゲイン)の2種類がありますが、家賃収入はインカムゲインにあたり、株式などに比べるとインカムゲインが収益の中で比重が高くなっています。このため、「ミドルリスク・ミドルリターン」といわれるのです。
「お金に働いたもらう方法」は、ご自身の家計環境・背景によってよく見極めていかなければいけません。
それぞれの運用商品の内容を理解した上で、自分に合った内容で最善の方法を見つけていきたいですね。